2012年 12月 10日
澄懐堂美術館 |
澄懐堂美術館での「中国書画の正脈」展と関連講演「中国書画における女性表現と仕女図の系譜について」。
今回も見て思うのは、清代に入ると既に篆刻は下り坂だということ。
清代末に呉昌碩が現れるまで篆刻はどんどんその質を落としていくように見える。
呉昌碩は確かに凄い。
でも、いけないものも沢山作っている。
わたしはファンじゃないから残念とは思わないけれども、名人上手であってもそういうものなのだろう。
ちょっと思いがけなかったのが、犬養毅の印。
以前、日本の歴史上の人物の署名と印を集めた本を読んだ。
そこに載っている印はほとんど見るに耐えないひどいものばかりだった。
日本人はこんなにひどい印を使ってきたのかとがっかりだった。
でも今回見た犬養毅の印はきちんと彫られたいいものだった。
技術もしっかりしていたし、彫り味もちゃんと篆刻と言えるものだった。
1冊の印譜を作るにあたってどの印を選んで載せるか、あの本は撰者に印を見る目がなかったということだ。
こういうことは多いんだろうな。
良い悪いは好みじゃない。
今、そこが大きく誤解されているんだと思う。
講演「中国書画における女性表現と仕女図の系譜について」。
1時間半で中国仕女図の1500年を辿る大急ぎの旅は準備がしっかりしていておもしろい講義だった。
どんな時代であっても、思想や宗教に邪魔されても、画家は、と言うより男は女の色香を描いてきたんだなと思う。
そういうことがなかったら、人間はとっくに思想か宗教に滅ぼされていた。
by NR-B12JA
| 2012-12-10 17:07