2012年 10月 08日
わが永遠の犬 |
2009年の3月に自分の短歌集を作ったことがあった。
「永遠の犬」はそのタイトル。
ときどき浮かぶ歌をメモしていて、それがそこそのの数になっていた。
出版したいということはなくて、ちょっとまとめてみようかなと、自分で編集し製本して何部作ったか覚えていない。
手元に1冊が残るだけだ。
前記、犬はわが友わが兄だった。
あちらのほうがあとから来たのにそういうことは関係なかったらしい。
朝は起きよと吼え、ご飯を食べよと吼え、夜はさっさと寝よと吼えた。
全ての危険からわたしを守ろうとした。
利口で気の強い犬だったそうだ。
わたしと両親以外にはなつかなかった。
幼くて守られていたわたしには分からないことだったが。
クロはわたしが出かけている間にいなくなった。
父の実家の農繁期の手伝いで、致し方なく一晩柱かなにかに繋いでわたしたちは出かけ、戻ったときにはクロは繋がれた紐を食い切っていなくなっていた。
「お前を探しにいったんだね」と父が言った。
それが忘れられない。
何日も何日も待って待って、ようやく帰らないのだと小さな心に受け止めた。
クロはどこで死んだのだろう。
クロが死ぬとき、わたしはそばにいてやれなかった。
ふと思い出して、「永遠の犬」をごそごそと箱の中から探し出した。
もう一度版を彫って、本にしてみよう。
by nr-b12ja
| 2012-10-08 08:03